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造形作家 八幡 満さん

陶器で動物の質感を表現

幼少期から粘土に興味をもち、陶芸の道へ

 「最初にひらめいたアイデアや気持ちを大切に、作品を作り上げるようにしています。作っていくうちに、なぜか自分の顔に似てくるんですよ」と話すのは、2025年10月11日から市内のギャラリー是空で個展を行う伊賀市在住の造形作家 八幡 満さん(56)。これまでに、京都や信楽、名張などで個展を開催。同ギャラリーでは2023年から3年連続、3回目の個展となる。今回の個展では、シロクマやスズメ、タヌキなどをモチーフにした動物などの作品、約50点を出品する予定だ。

 

 八幡さんは大阪府出身。子どもの頃から油粘土に親しみ、粘土細工が好きになった。陶芸の道に進んだのは「柔らかい粘土の作品を崩れない形で残しておきたかったから」だという。高校卒業後は信楽の信楽窯業技術試験場のデザイン科で技術を学び、信楽の窯元で作陶技術を磨いた。1994年に伊賀に移住し、自宅にアトリエと窯を構えた。昼間は会社に勤務し、作品づくりは仕事が終わった後や休日に行っている。

 

沈んでいる自分を上って佇むもう一人の自分。沈んでいる自分を乗り越える、前向きな気持ちを表現した作品。

※写真の作品はすべて、今回の個展に出品予定のもの。

シロクマが乗っているのは氷山。自身が歩んだ道を足跡で表現している。

 

硬い陶器から生まれる柔らかい動物の質感 

 作品に使うのは信楽の土。作品作りはスケッチしたデザインをもとに行う。まず、土を練った後、手びねりで形を作る。乾燥した後に素焼きを行い、釉薬をかける。再び乾燥させて、本焼きを行う。作品によっては、ガラスや真鍮などを組み合わせることもある。中を空洞にして成形していくので、外側から形を作るだけでなく、内側から押し広げて形をつくることもできる。広げたときにできるひび割れをあえて残すことが味わいにつながり、柔らかい質感が生まれると、八幡さんは話す。

 

 「動物の作品は、粘土のときは柔らかくて今にも動き出しそうだと感じるのですが、焼きあがると硬くて冷たいものになってしまう。真逆の性質になります。硬いものだけれど、柔らかい質感に仕上げる。とても難しいことですが、それがやりがいにもつながっています」と八幡さん。

 

今回の個展にはスズメが登場する予定。この作品も歩んだ道を足跡で表現している。

自分を軸にして広がっていく宇宙を表現。自身の中にある軸の大切さを表しているそう。

 

動物は入口 作品に込めた思い

 「動物を通して様々な感情を読み取ってほしい。動物は入り口にすぎません」と話す八幡さん。今回出品する作品の一つ、大きなシロクマの上に小さなシロクマが乗っている作品では、自身の前向きな気持ちを表現した。「下のシロクマは沈んでいる自分。その自分の上にもう一人の自分(シロクマ)が上っていき、佇んでいる。沈んでいる自分を乗り越える、そんな前向きな気持ちを表しました」と作品について語る。

 

 今後は動物に限らず、電車や飛行機といった生き物以外の作品も作っていくそうで、今回の個展でも電車をモチーフにした作品を披露する予定だ。

 

 新しい挑戦にも積極的に取り組んでいる八幡さん。今後については「陶器なので、形によっては割れてしまったり、異素材の組み合わせで、失敗することもあります。でも新しいことをすると、ワクワクする。失敗を恐れずに新しい作品にどんどん挑戦していきたいと思います」と笑顔で語った。

 

「2025 八幡満 作陶展 vol.3」
【日時】2025年10月11日(土)~10月19日(日)
    11:00~18:00(最終日17:00まで)
【会場】ギャラリー是空
※入場無料。お問合せは同ギャラリー(℡0595-21-8818)まで。

 

※八幡満さんの最新情報はこちらをご覧ください。

 

取材日:2025年7月

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