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都山流 準師範 藤川来真さん/都山流 指南 藤川純真さん

尺八を次の世代につなげたい

小学生から民謡をはじめ、尺八の道へ

 「10歳のときに初めて吹いた尺八は『民謡やよい会』の曽我岱位山(たいざん)氏からお借りしたものでした。初日から音が鳴って、とてもうれしかったですね」と話すのは都山流 準師範の藤川来真さん(22)。来真さんの弟で、同じく同流派指南の藤川純真さん(18)は「兄が吹いている姿を見て育ったので、小さいころから尺八はとても身近な存在でした。保育園の時は、ワークショップで譲ってもらった塩ビ管の尺八をおもちゃがわりに吹いて遊んでいました」と話す。

 

 伊賀市出身の二人。現在、来真さんは名古屋で会社員として勤務。純真さんは近畿大学工業高等専門学校(名張市春日丘)の3年生。三重県内を中心に、兄弟で尺八の演奏家として活動。都山流尺八や民謡の発表会などに出演するほか、依頼を受けた演奏会で伴奏やソロで演奏するなど、たくさんの舞台にたっている。

 

 来真さんが尺八をはじめたのは、10歳のとき。『民謡やよい会』に入会して、民謡をはじめたのがきっかけだった。弟の純真さんも兄の影響を受けて入会し、9歳で尺八をはじめた。共に、やよい会の故曽我岱位山氏から尺八を習い、来真さんは「岱爽(たいそう)」、純真さんは「岱純(たいじゅん)」の竹号を授かった。

 

2025年6月に伊賀市文化会館で開催された「第35回民謡やよい会発表大会」に兄弟で特別出演。

 現在、来真さんは和楽器バンドの神永大輔氏に、純真さんは都山流の北原篁山氏に弟子入りしている。また、預かり弟子として、都山流の人間国宝・野村峰山氏や民謡小湊流家元・尺八演奏家の小湊昭尚氏にも、兄弟で指導を受けている。

 

 純真さんは2024おかやま全国高校生邦楽コンクールで奨励賞を受賞。2025年の4月に米国テキサス州で開催された世界的な尺八のイベント「WORLD SHAKUHACHI FESTIVAL」内のコンクールに出場。2025年の8月2日に開催される2025おかやま全国高校生邦楽コンクールにも出場の予定だ。

 

純真さんは、アメリカテキサス州で2025年4月に開催の「WORLD SHAKUHACHI FESTIVAL」内のコンクールに出場。(写真:純真さん提供)

 

尺八は汎用性が高い楽器 古典からポップスまで、様々な曲が吹けるのが魅力 

 日本古来の和楽器である尺八について「古典的な曲しか吹けないと思っておられる方が多いと思いますが、実は様々な曲を吹くことができます。レファソラド※1が尺八の音階ですが、指の開け具合でドレミファソラシドの音を出すことも可能で、ポップスやジャズなども吹けます。とても楽しい楽器ですよ」と来真さん。続けて純真さんも「尺八は音色を変えることもできます。息使いや指使いで、風の音や鳥のさえずりのような自然音、時代劇やゲームの効果音などを出すことも可能です。汎用性の高い楽器です」と語る。

 

 2024年の11月に青山ホールで開催された「歌とピアノのコンサート 芭蕉」では、尺八とピアノのコラボ演奏を披露。ほかにも、自身のSNSや動画サイトでポップスの演奏動画を公開するなど、新しい試みにも挑戦している。

※1……都山流の音階は「ロツレチハ」。

 

「尺八」の長さは数種類あって、長いものほど低い音が出るそう。上の尺八は純真さんが譲り受けた、曽我岱位山氏の形見の尺八。

 一緒に舞台に立つことが多い二人。それぞれのタイプについて聞くと、来真さんは「楽譜通りに吹くのが得意。初見でもある程度吹くができるタイプ」いっぽう純真さんは「楽譜はあまりみないで、アドリブが得意。即興が得意なタイプ」だそう。演奏曲が自由に選べるときは、古典的なもののほかにポップスを選ぶこともある。ポップスの演奏でも、尺八の技法を取り入れ、尺八ならではの音色にこだわっているという。

 

 二人に今後の目標を聞くと「尺八、民謡共に平均年齢がかなり高いです。10代はほとんどいないのが現状です。若い世代の方にもっと尺八に興味をもってもらって、次世代につないでいきたいです」と思いを語った。

 

取材では塩ビ管の尺八での演奏も披露してくれた。乾燥や熱に弱く管理が大変な竹の尺八に比べて、塩ビ管の尺八は扱いやすいそう。

 

【藤川来真さん・純真さんの今後の出演予定】

  • 2025年9月14日(日)邦楽西尾会発表会(津市リージョンプラザ)
  • 2025年10月18日(土)第90回伊賀文化産業城竣成式典 卒寿記念企画 邦楽演奏(伊賀上野城大天守閣)
  • 2025伊賀市民文化祭 邦楽部門

※二人の詳細や今後の活動等については、SNSで発信しています。

取材日:2025年6月

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