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三重ストロー製作所 小松亜衣子さん

伊賀の麦わらで地球に優しいストローを

 

耐水性があり味もそのまま、土にかえるストロー

 「三重県は国内有数の麦の産地で、伊賀でも麦の栽培が盛んにおこなわれています。豊富にある伊賀の麦わらを活用して、地球にやさしい、土にかえるストローを作りました」と話すのは、伊賀市で麦ストローの製作販売を手掛ける小松亜衣子さん。愛知県出身で、大学では北海道で生物産業学を学び、伊賀市の農業体験施設に就職。結婚後に伊賀市内で古民家を購入し、畑で野菜作りを始めた。畑で作業していると近所の方に「畑の土の上に麦わらを敷くとよい」と教わり、麦わらをわけてもらえることになった。

 

 「麦わらを取りに田んぼに行くと、とてもたくさんの麦わらがあって『自然が豊かですごく素敵な風景だな』と感動しました。そして、この麦わらを何かに活用できないかなと思ったんです」と小松さんは麦わらとの出会いを話す。

 

 活用方法を考える日々が続いていたが、ある時夫から「麦ストローを作ってみては」という提案があった。近年、SDGsやプラスチックごみの削減を目的に、プラスチック製ストローを見直す動きが広まっており、日本各地で麦わらのストローが製作されているという記事を読んだのだ。プラスチック製品が出回る前は、麦のストローが広く使われていて、現在の「ストロー」という呼び名も、英語の「straw」=「わら」が語源になっている。

 

 小松さんは夫の提案に共感して、まずは自宅用に麦ストローを作り始めた。「実際に使ってみると、口当たりがよく、長時間飲み物につけてもふやけにくい。匂いもなく、飲み物の味もそのまま楽しめるので、多くの方に使ってほしいと思いました」と小松さんは話す。

 2022年の夏には、事業たちあげのために、三重県の農山漁村起業者養成講座を受講。半年間、起業のノウハウを教わり、2023年の春に「三重ストロー製作所」をたちあげた。

ストローの加工作業は一つひとつ手作業で行う。

麦わらの節と節の間を採寸してカットしていく。

 

三重県内に麦ストローの輪を広めたい

 ストローの加工作業は小松さんが手作業で行う。使用する麦わらは小麦とライ麦の2種類。まず、ストローに適した太さのきれいな麦わらを選び、節と節の間をカット。洗浄、煮沸消毒して、乾燥させる。加工したストローの長さは18から20センチで、内径は2から4ミリ。耐水性があるので、洗浄、乾燥すれば2、3回は使用できるという。

 

 現在、同製作所のストローを使用している店舗は、伊賀市柘植町の書店と名張市のカフェ2店舗。どの店舗も小松さんの活動に賛同していて、ストローの品質にも満足しているそうだ。

 

 「まずは伊賀の方にもっと麦ストローを広めたい。そして三重県全体に麦ストローの輪を広めていきたいです。多くの方に使っていただけるようになったら、将来的には福祉施設の方に協力を得て加工作業する、農福連携も視野に入れています。伊賀の麦ストローで多くの方を笑顔にできたらうれしいです」と抱負を語った。

 

加工した麦ストロー。 手前がライ麦、奥が小麦のストロー。

ドリンクのストローに、同製作所の麦ストローを使用している伊賀市の書店[AprilBooks]にて撮影。匂いがないのでどんなドリンクにも使用できると好評。

※写真はアイスコーヒー

 

※「三重ストロー製作所」についての詳細は公式Instagramから。

 

取材日:2024年8月

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