Iga people

伊賀人バンザイ!

ホーム伊賀人バンザイ!若戎酒造 8代目蔵元 重藤邦子さん

ここから本文です。

若戎酒造 8代目蔵元 重藤邦子さん

味とパッケージにもこだわったおしゃれな伊賀酒を

祖父の熱い願いを受けて8代目蔵元に祖父の熱い願いを受けて8代目蔵元に​

「『邦子が後継ぎだ』と先々代の祖父に幼少期からずっと言われ続け、いつしかそれが当然だと思うようになっていました(笑)。後を継ぐのは息をするのと同じくらい自然なことでした」と話すのは、伊賀市阿保にある若戎酒造の8代目蔵元 重藤邦子さん(48)。大学で地元を離れたが、卒業後に帰郷し、同蔵に入社。先代の父の元で仕事を学び、2016年に8代目蔵元に就任した。今年で蔵に入って25年になる。

 

 同蔵では杜氏含め蔵人は社員として年間雇用している。現在の杜氏である高松さんは山口県や山形県で蔵人として働き、邦子さんの蔵元就任と同時期に新杜氏として蔵に入った。「社長就任時のプレッシャーは大きかったですね。蔵元の仕事の重圧に加え、杜氏が代わったことによるお酒の評価も重圧でした。しかし、杜氏はじめ蔵人やスタッフが懸命に頑張ってくれたおかげで、以前から受賞歴のある全国新酒鑑評会の金賞をほぼ毎年受賞することができ、評価をいただけていると自負しております」と邦子さんは話す。

酒造りは9月から3月にかけて、気温が下がった頃におこなわれます。

亡き祖父の縁から約40年ぶりに復活させた貴醸酒

 先々代と先代は自社ブランドの酒造りに力を注ぎ、ハウスブランドの「若戎」、山廃仕込みの「真秀」、主力ブランドの「義左衛門」など、味にこだわった銘柄を次々に生み出してきた。昭和50年代には製造酒全量を自社ブランド販売に切り替え、さらに味にこだわった酒造りを押し進めてきた。

 その中の一つ、今から40年以上前に祖父の代に造られた貴醸酒を数本発見したと、浜松の酒屋から連絡が入った。邦子さんが就任してからしばらく経ってからのことだ。邦子さんはそのうち1本を譲り受けた。貴醸酒は酒造りの「仕込水」の代わりに「清酒」で醸すことにより、長期熟成させることもできる、甘味とやさしい酸味が特長のお酒。

 

 貴醸酒を手にしてから、祖父から邦子さんに宛てた手紙が見つかったり、貴醸酒を仕込んだ杜氏の帳面が出てきたりと思わぬ出来事が重なった。「貴醸酒を復活醸造してみなさい」と祖父に言われている気がした邦子さんは、早速、高松杜氏に相談した。杜氏にとって貴醸酒の仕込みは初めてだったが、邦子さんの思いを汲んで承諾してくれた。復活醸造に踏み切ったのは去年(2020年)。仕込みには『純米吟醸 義左衛門』を使った。義左衛門に寄り添う酒という意を込め『ギザエモンノコイビト』と名付け、ボトルのデザインは伊賀市在住のイラストレーター 田槙奈緒さんにお願いした。去年分は完売し、今年も売れ行きは好調だ。

 

「祖父は大学で実家を離れた私に、よく手紙をくれました。いつも会社の状況や家族のことについて、会社の便せんにびっしり書き綴られていたのを覚えています。手紙が見つかった頃は、蔵元就任の重責に悩んでいた頃で『お前ならできる』と、祖父が背中を押してくれた気がしました」と邦子さんは微笑む。

約40年ぶりに復活醸造した貴醸酒『ギザエモンノコイビト』。ボトルのイラストは田槙奈緒さんによるもの。※写真は2021年のデザイン

女性蔵元ならではの発想で未来を切り開く

 邦子さんの祖父、そして父は共に三重県酒造組合の会長を務めた。祖父は三重県の共同精米所の設立や現在県下の蔵元で広く使用されている酒造好適米「三重山田錦」の振興に携わるなど、三重県産の日本酒の発展に尽力した人物として知られている。「私は自分の蔵を切り盛りするのに精一杯で、まだ二人の足元にも及んでいません。酒造業は現在コロナ禍で大変厳しい状況ですし、自蔵の機械も老朽化してきたりと、課題は多いですね」と邦子さんは苦しい胸のうちを話す。

 

 最後に打開策について質問すると「今新しいターゲットとしているのは、女性です。女性の日本酒ファンを発掘するために、味はもちろんのこと、パッケージにもこだわっていきたい。すでにいくつか商品を販売していますが、思わず手に取りたくなるような、プレゼントしたくなるような企画商品をもっと開発していきたい。まず、飲んでいただかないことにはうちのお酒の良さはわかっていただけませんから」と女性蔵元ならではの返答でインタビューを締めくくってくれた。

邦子さん就任後の新ラベル「だもんシリーズ」 春・夏・秋・冬と季節の味が楽しめます。

取材日:2021年10月

若戎酒造株式会社

伊賀市阿保1317

0595-52-1153

一覧

このページの先頭へ