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花火写真家 石原健哉さん

一瞬の開花から生み出される芸術 花火写真で独自の世界観を表現

海外のコンテストで数多くの賞を受賞 世界でも珍しい花火写真家

「一見すると花火とわからない面白い形、色彩を追い求めてシャッターを切ります」と話すのは、花火写真家の石原健哉さん。

写真を撮り始めたのは、今から40年前。息子さんの成長を残したいと思ったのがきっかけだった。当初は、上野天神祭のひょろつき鬼の写真など、人物中心のスナップ写真を撮影。県内外で賞を受賞していたが、その後、グループ展の出展に際し、これまでと違った作品に取り組みたいと思い選んだのが花火写真だった。それから花火写真に魅了され、20年になる。

花火写真でも多くの賞を受賞し、フランスの世界最古の国際公募展「ル・サロン」では、2002年に銅賞を受賞。同展には7年連続入選。コンテストのほかにも、東京や横浜、地元伊賀市などで個展を開催し、高い評価を得ている。

考え抜いた技法から生み出される神秘的な形

これまで撮影に足を運んだのは、伊賀の花火大会のほかに、熊野、伊勢、長野、大曲など日本各地に及ぶ。撮影はフィルム撮影のみ。一度の撮影に使うフィルムは5本程度。以前は10本程度使っていたが、長年の経験から撮るものを選別するようになった。

「光がまるで生きているよう」と賞する人もいる、神秘的で独特なフォルムの作品たち。これらは石原さんが試行錯誤し生み出した技法で撮影される。カメラのシャッター速度を調整し、カメラを揺らしたり、回したり、ズーミングしたりして、光の線や跡を残す。空中での開花を予測して、その花火に合わせた技法で撮影ができるのは、長年の経験がなせる業だ。

石原さんの作品は、人によって感じ方がかわり、そこから話が弾むことも多い。例えば波打ったように横に伸びた光の線が特徴の『アザラシ』※という作品は、題名そのもののように感じる人がいる一方で、子供がベットで寝ている姿を連想する人もいる。「よく作品について『これは何ですか』という質問を受けますが、関心を寄せてくださっているからだと思います。そこから話が弾むことも多い。とても光栄なことです」と石原さんは笑顔を見せる。

神秘的なフォルムはもちろん、色彩の豊かさも評価され、最近では、病院などで使用される臨床美術としても評価されている。

写真は生きる活力 さらに飛躍したい

「海外に行くと今までと違った知識を得られるというか、物事を違う視点から見られるようになります」と話す石原さん。これまで行った海外の中では、スペインが一番活気があっておすすめで、アントニ・ガウディが建築した「カサ・バトリョ(2005年ユネスコ世界遺産登録)での展覧会に出品した。石原さんは常に世界に目を向け、作品を電子書籍にも掲載している。

花火写真は「生き甲斐」と話す石原さん。新しい作品、そして個展の開催を願う声も多く、それが励みになっているという。写真の縁で海外に何度も足を運び、様々な国の方と知り合え、いろいろな経験ができ人生の幅が広がった。「私は同じ1日でも、悲しんで過ごすより、楽しく過ごしたいと思うんです。それには、自分の好きなことで目標を持つこと。現状に満足せず、常に先を見て、先を楽しむのが生きる活力になっています」と力強く話す。

そんな石原さんに今後の目標を聞くと「まだ79歳。伊賀でとどまらず、世界に羽ばたいていきたい。ル・サロンで金賞を受賞したいですし、海外で個展もしたいですね」と目を輝かせ語ってくれた。

※「アザラシ」は石原さんの顔の右側の作品

取材日:2019年6月

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