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旧上野市庁舎 SAKAKURA BASE 「泊船 HAKUSEN」支配人 細川あやのさん

坂倉建築が持つ力をいかしたい

飲食業、事業再生コンサルティング業を経て泊船へ

 「SAKAKURA BASEを最初に見たとき、建物が持つポテンシャルと存在感、そして重厚感に圧倒されました」と話すのは、2025年7月に開業した、旧上野市庁舎 SAKAKURA BASE内にあるホテル、「泊船 HAKUSEN」で支配人を務める細川あやのさん(55)。

 

 奈良県で飲食業を営んだ後、眼の手術を機に、縁あって大阪の会社で事業再生のコンサルティング業務に携わり、様々な企業の立て直しを行ってきた。事業再生にあたっては、担当する企業に直接赴き、経営面だけでなくプレイングマネージャーとして現場に立った。その中で、旅館やホテルの事業再生にも携わった。

 

 担当する企業は日本全国に及んでいたので、年齢的に一か所で腰を据えて仕事がしたいと思っていたときに、細川さんのご主人がWEBサイトで、泊船の支配人募集のお知らせを見つけた。建築のすばらしさに感動したこと、これまでと違って開業時から携われること、自身が望んでいた条件とも合致したことから応募を決めた。それから面接を重ね、見事採用が決まった。

 

 着任してからは、前職の経験をいかしながらプレイングマネージャーとして、現場から運営管理まで様々な業務をこなしている。運営管理で最も大切にしているのは、スタッフを育てること。ミーティングを頻繁に実施し意思の疎通をはかりながら、主体性をもってもらうため、どのスタッフにも経営者目線で仕事に取り組むよう促しているそうだ。

「泊船 HAKUSEN」唯一のスイートルーム。以前は市長室として使用されていた。空間の贅沢さ、タモ材の壁や特注の窓など、当時の面影が随所に感じられる。

バスルームに続く扉。市長室で使われていたものをそのまま使用している。

 

公共エリアとプライベートエリアの共存 来春の図書館開館に向けて

 オープン以来、全国各地から宿泊客が訪れ、特に関東からの宿泊客が多い。数か月が経って細川さんが改めて感じているのは、この建物の力、偉大さだという。

 

 「建築に興味を持っておられるお客様が多く、そのほとんどが当ホテルでの宿泊を旅の目的にされていらっしゃいます。お部屋で過ごす以外に、空中庭園が望める「ロの字」の廊下や建物のまわりの散歩など、坂倉建築を存分に堪能していらっしゃいます。そんな姿を拝見すると、光栄で誇らしい気持ちになりますね」と細川さん。今後は建物の見どころを紹介するツアーなども企画していきたいと話す。

 

 来春(2026年)にオープンする予定の図書館については「日本で初めての試みですので、とても楽しみです。人の流れも大きく変わると思っています。当施設がある2階に図書館の自習室があることで、公共エリアとホテルエリアのすみわけをしっかりしないといけない。どちらの良さもいかしながら、共存できる方法を図書館の方と模索中です。できれば、共存も強みにしていきたいですね」と図書館オープンへの期待を語った。

細川さんのお気に入りの場所は「ロの字」の廊下。窓からは空中庭園が望める。

空中庭園のガーゴイル(あまどい)は、雨水が流れる様子をあえて見せている。

客室には部屋のイメージに合わせたアート作品を取り入れている。伊賀在住の陶芸作家・壺田太郎さんの陶作品や県内在住の画家 藤本玲奈さんの抽象画が飾られている。

部屋ごとに異なる書籍を用意。選書は「books+kotobanoie(予約制古書店)」の加藤 博久氏によるもの。

 

旧上野市庁舎 SAKAKURA BASE  「泊船 HAKUSEN」

旧上野市庁舎の設計は日本を代表する建築家 坂倉準三によるもの。坂倉が設計したモダニズム建築のなかで、現存する貴重な建造物。現在は文化財として保存され、図書館とホテルなどが共存する施設として再生。「泊船 HAKUSEN 」は全19室のスモールブティックホテルで、坂倉の建築思想を受け継ぎ、光の取り込みや空間の余白にこだわって設計された。以前は市長室として使われていたスイートルームなど、随所に当時の面影が残されている。

 

※旧上野市庁舎 SAKAKURA BASE  「泊船 HAKUSEN」についての詳細はこちら

 

2025年7月に開業した 旧上野市庁舎 SAKAKURA BASE

 

取材日:2025年10月

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