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陶芸家 谷本由子さん
自分の中からあふれ出たものを形に
染色、銅版画制作を学び陶芸の道へ
「何かをイメージして作品を制作するのではなく、自分の中から自然にあふれ出たものを形にしています」と話すのは、3月3日から11日まで、伊賀市上野丸之内のギャラリー是空で個展を行う、陶芸家の谷本由子さん(72)。
同ギャラリーでの個展は2022年につづき2回目。今回は「谷本由子の器」をテーマに、皿や鉢、花器といった日用陶器やオブジェなど、約50点が並ぶ予定だ。
広島県広島市出身の谷本さん。中学、高校と油絵に親しみ、大学では染色を専攻。卒業後は郷里の広島で染色家の杉谷富代氏に師事し、日本現代工芸展に入選。その後パリに渡り、ウィリアム・ヘイター氏の元で銅版画を学んだ。同時期に同工房で伊賀焼の陶芸家 谷本景氏と出会い、結婚したことが、陶芸の道に進むきっかけになった。
![]() 「伊賀焼窯元 三田窯」の谷本由子さんのアトリエ。笑顔で迎えてくれた谷本さん。 |
なめらかな曲線が布を思わせる作品たち
「染色に携わった頃から、今でも布が好き。アフリカなどいろいろな国の布を集めています」と話す谷本さん。アトリエには、深い青色をした大きなオブジェから、金色やいぶし銀のような色合いのオブジェなど、様々な作品が並ぶ。作品のなめらかな曲線は、布のドレープを表現しているようにも見える。
オブジェの制作は、粘土を板(タタラ)状にして型につけていく技法を用いるそうで、完成までかなり時間がかかるそうだ。今回の展覧会に出展する器類にはろくろを使ったものもあり、形づくりの後、素焼き、色付け、本焼きの作業を経て、完成したものが並ぶ。
アトリエに併設の工房内で、作品を手に取る谷本さん。 |
観る人、使う人が自由に作品をとらえてほしい
「私自身、決まった形を求めて作品を作るわけではないので、作品はこうでなくてはいけないとは思っていません。観る方が自由にイメージして観ていただけたらうれしいですし、気に入ったものがあればぜひ、普段の生活で使っていただきたい。暮らしの中で作品を使う楽しさを味わってほしいです」と作品に込めた思いを語った。
『谷本由子の器』
【日程】3月3日(月)~11日(火)
【時間】11:00~18:00(最終日17:00)
【会場】ギャラリー是空(三重県伊賀市上野丸之内)
※入場無料。
※お問合せは同ギャラリー(℡0595-21-8818)
取材日:2025年1月