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彫刻家・日本美術家連盟会員 惠村正大さん

里山の思い出を作品に! 心やすらぐ彫刻を展示

 

現代社会へのメッセージを込めて、木のぬくもりを感じる作品を展示

 「木のぬくもりがある作品からやすらぎを感じて欲しい。便利さを追求して大切なものを見失った現代社会へのメッセ―ジも込めています」と話すのは、5月20日から28日まで、伊賀市丸之内のギャラリー是空で個展を行う、彫刻家で伊賀白鳳高校講師の惠村正大さん(68)。同ギャラリーでの個展は2回目で、2年ぶりの開催。コンセプトテーマは『里山からのおくりもの』。「彫刻家の創るInterior Elements(室内要素)」をサブテーマに、オブジェのような家具や木工作品、絵画、版画など、約30点を展示する。

 旧大山田村 猿野で生まれ育った惠村さん。家の手伝いで、裏山に焚き付け用の木を拾いに行ったり、山菜やきのこを採りに行った。その中で、生活の基本となる食の恵みの大切さや自然の中での危険の対処法を里山から学んだ。会場にはそんな里山の思い出を反映させた作品が並ぶ。中には、小学校の椅子に敷いていた母の手づくりの座布団をイメージした、座面を座布団に見立てた木彫りの椅子の展示も。ほかにも、風に揺れる穂先を描いた油絵などを展示。会場では、どこか懐かしくてほっこりする空間を演出する予定だ。

 

里山からのおくりものー記憶の中からー(2013年)

里山からのおくりものー2013ー(2013年)

里山からのおくりものー生きる力2014ー(2014年)

彫刻家、高校教諭、陸上部顧問 
常に走り続けてきた

 惠村さんが美術に興味をもったのは、高校生のとき。油絵の楽しさにめざめ、愛知教育大学の美術科に進学。1、2年生では、絵画のほかに彫刻や工芸、デザインなど様々なことを学び、3年生で専攻したのは工芸(ブロンズ鋳造)だった。本格的に彫刻をはじめたのはそれからだ。

 大学卒業後に、上野工業高校(現伊賀白鳳高校)に赴任。生徒を指導する一方で、行動美術協会の展覧会をはじめとし、国内外の展覧会に出品。2002年には、三重県美術展でグランプリを受賞。同年と2015年に招待を受けたドイツの国際木彫シンポジウム「FLUR」では、2015年に最高賞を受賞。受賞作品はドイツのザクセン州マルクノイキルヘンにある楽器博物館に設置された。同じく2015年にドイツで開催された、広島長崎被爆70年平和式典に招待され制作した作品は、ドイツのバイエルン州フュルトの国立専門職業学校に設置された。

国際木彫シンポジウム「FLUR2015」(2015年 ドイツ)で1st.PREIS(最高賞)を受賞した『音は生きている』

 「『FLUR』で最高賞を受賞した作品『音は生きている』に使用した木は、楽器博物館に生えていた赤ブナの木で、地元の方には馴染みの深い木だったそうです。現地の方が匙を投げるほど硬い木だったうえ、制作期間も限られていたので、精神的にも肉体的にも追い詰められた中での制作でした。何とか期間内に完成して、最高賞を受賞したときは、心からうれしかった」と当時を振り返る。

 惠村さんは同校で、陸上部の顧問を40年近く務めている。忙しさから作品制作が辛かった時期もあったが『FLUR』での受賞が転機になった。作品制作がさらに楽しくなり、2020年からはじめた上靴をテーマにしたシリーズの制作にも弾みがついたという。

広島長崎被爆70年平和記念式典招待作品制作『記憶再生』(2015年 ドイツ)

 

楽しみながら作品を創りつづけたい

 「作品には、作者の思いや制作している時の感情が反映されると思っています。楽しみながら創った作品は、観ていても楽しい。安らぎの気持ちを込めて創った作品は、観るとほっこりした気持ちになる。作品にはそんな力があると思っています」と惠村さん。

 現在考えている新シリーズは、観た人がびっくりして楽しくなる、段ボールそっくりの木工作品。「作品を観た方の驚いた顔と笑顔を思い浮かべながら作品を創っています(笑)。制作者が楽しむのが一番。楽しみながら制作する私の姿を見て、この世界に興味をもってくれる生徒がいたらうれしい。私の作品からも楽しさや癒しを感じてくれたら本望です」惠村さんはとてもやさしい眼差しで、作品と生徒への思いを話してくれた。

 

『惠村正大展』2023年5月20日(土)~28日(日)11:00~18:00(最終日17:00まで)、ギャラリー是空にて開催。入場無料。お問合せは同ギャラリー(℡0595-21-8818)まで。

作品画像提供:惠村正大さん

取材日:2023年3月

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