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伊賀流忍者博物館 学芸員 幸田知春さん

忍者を通して子どもたちに伊賀の魅力を伝えたい!

子どもの頃から伊賀の歴史に興味を持つ
大学で学芸員の資格を取得

 「夏休みの自由研究で伊賀上野城や俳聖殿を作るほど、伊賀が大好きな子どもでした」と自身について話すのは、伊賀市上野丸之内(上野公園内)にある伊賀流忍者博物館の学芸員 幸田知春さん。伊賀の歴史家と親しかった祖父の本棚には、伊賀の歴史に関する本が並んでいて、自然と伊賀の歴史に興味を持った。学生になっても歴史への興味は尽きることがなく、奈良大学の史学科に進み、学芸員と高校の地理・歴史の教員資格を取得。卒業後は、自分が育った伊賀に貢献したいとの思いから同館に就職し、学芸員を務めて20年近くになる。

 幸田さんが勤務する同館は、江戸時代末期の土豪屋敷を移築した「伊賀流忍者屋敷」と忍具や忍者の歴史や生活を紹介する資料館「忍術体験館」「忍者伝承館」からなり、『萬川集海』『伊乱記』『忍秘伝』といった貴重な古文書も多数所蔵。伊賀在住の仏師僧 服部俊慶氏作の『忍者曼荼羅』の展示も行っている。また、館内では「伊賀流忍者特殊軍団 阿修羅」による忍術実演ショーも開催している。

※忍術実演ショーのスケジュール等については、同館ホームページをご確認ください。

 

 幸田さんは「当館を起点に伊賀の様々な観光地を巡って欲しい」との思いから城下町の古地図を用いた観光地の展示を行ったり、(一社)伊賀上野観光協会が企画した伊賀流忍者に由緒ある寺社や観光施設をめぐる「伊賀忍者回廊」ご朱印めぐりの記事作成や同館特別ご朱印のデザイン等もおこなっている。

服部俊慶氏作『忍者曼荼羅』。伊賀・甲賀の忍者が信仰した神仏が描かれている。

幸田さんがデザインした、2022年2月22日「忍者の日」限定の同館特別ご朱印。

※伊賀流忍者博物館では、2023年2月22日「忍者の日」限定ご朱印を数量限定で授与します。
詳しくは同館(℡0595-23-
0311)までお問い合わせください。

忍者の精神は現代にも通じる!?
忍者は自分にとって理想の姿

 「伊賀流忍者は火術にたけていたといわれています。古文書では忍者ではなく伊賀衆や伊賀者と書かれていますが、お城を攻めるときに火薬を使ったり、藩主の前で火術を披露したという記録も残っています。当時の最先端の技術を使いこなしていたのが、伊賀衆や伊賀者だったといえるでしょう」と話す幸田さん。

 自身にとっての忍者のイメージについて聞くと「忍者は私の理想の姿。忍術は現代の『総合生存技術』『総合生活技術』といわれていて、自分の身を守るための術が詰まったものだと、私は認識しています。どんな場面においても心を乱さず臨機応変に対応する忍者の精神は、現代でも十分参考にできると思っています」と答える。

忍術体験館では、忍術書に基づいて製作されたレプリカの忍具などが展示されていて、手裏剣や水蜘蛛といった、おなじみの忍具を見ることができる。

幸田さんが企画した忍者を題材にした錦絵(複製画)の展示。錦絵の中には、ヒキガエルの妖術を使う忍者『児雷也蝦模妖術図』などがあり、館内で複製品の販売(数量限定)も行っている。

忍者を通して伊賀の魅力を発信!
伊賀に興味を持つきっかけになれば

 幸田さんは、同館の学芸員として様々な仕事に携わっている。伊賀市が松尾芭蕉翁や忍者などの史料をデジタルデータ化し、ネット上で公開する「デジタルミュージアム 秘蔵の国 伊賀」。その「伊賀流忍者」コーナーの監修を手がけ、同館で所蔵する『萬川集海』『正忍記』などの写本を関連画像とともに紹介。一部は翻刻も公開している。ほかにも、同館を運営する(一社)伊賀上野観光協会が民間企業と連携して宿泊施設などの企画施工をする「伊賀流忍者博物館ルーム(忍泊)」サービスの監修も行っている。

 「世界に誇れる忍者の博物館として、今後は最新の研究を踏まえた展示にブラッシュアップしていきたい」と話す幸田さん。一方で地元の子どもたちに向けての展示にも力をいれていきたいと話す。「伊賀の各地に伝わる忍者を地元の歴史や名所とともに紹介することで『自分の住んでいる地域にこんなすごい忍者がいたんだ。伊賀は面白いところ』と伊賀に興味をもってもらえたらうれしい。そして、伊賀が好きな子どもたちが増えればいいなと思っています」と、子どもたちへの思いを語ってくれた。

幸田さんはくノ一として伊賀流忍者屋敷の実演案内をすることも。写真は「どんでん返し」。

床に刀を隠す仕掛けからくりの「刀隠し」。

取材日:2022年12月

伊賀流忍者博物館

伊賀市上野丸之内117(上野公園内)

0595-23-0311

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