第38回 『忍者学講義』

 
忍者の聖地 伊賀

第38回 『忍者学講義』

三重大学人文学部 教授 山田 雄司

 2020年2月10日、中央公論新社より山田雄司編・三重大学国際忍者研究センター著『忍者学講義』を出版した。また、出版とあわせて2月22日(忍者の日)午後2時よりハイトピア伊賀において、国際忍者研究センター設立3周年・『忍者学講義』出版記念シンポジウム「三重大発!忍び学でござる」を開催し、これまでの三重大学による忍者研究の成果について報告を行った。

 三重大学では地域に根ざした特色ある研究として、2012年より忍者に関する研究を始め、2016年には日本科学未来館などで企画展「The NINJA‒忍者ってナンジャ!?‒」を開催した。この特別展の後、文理融合の特色ある忍者研究をこのまま終わらせてしまうのはもったいないと、読売新聞伊賀上野支局の山本哲生記者から提案があり、2017年11月より読売新聞伊賀版・三重版に三重大教員による「三重大発!忍び学でござる」の連載が開始されることになった。そして、この連載が100回を超え、ぜひ本にまとめてほしいという声が多かったので、中央公論新社に働きかけて出版に至った。

 本書の構成は以下のようである。

  • 『忍者学講義』出版にあたって 駒田美弘三重大学長
  • はじめに 山田雄司
  • 第一章  忍者食を作ってみる 久松眞名誉教授(食品科学)
  • 第二章  伊賀者の歴史を辿る 高尾善希国際忍者研究センター准教授(近世日本史)
  • 第三章  忍者の動作を科学する 脇田裕久名誉教授(運動生理学)
  • 第四章  芭蕉忍者説を疑う 吉丸雄哉人文学部教授(日本近世文学)
  • 第五章  のろしを分析してみる 加藤進名誉教授(環境質分析・評価)
  • 第六章  忍者の諜報力 藤田達生教育学部教授(日本史学)
  • 第七章  忍術書の火器をつくってみる 荒木利芳名誉教授(微生物学・酵素学)
  • 第八章  薬草と毒草の研究 山本好男名誉教授(中毒学・環境化学)
  • 第九章  精神科医の見地から 小森照久名誉教授(精神医学)
  • 第十章  世界に広がるNINJA クバーソフ・フョードル元国際忍者研究センター研究員(忍者学)
  • 第十一章 忍者研究の現場 酒井裕太国際忍者研究センター職員(伊賀地域史)
  • 第十二章 忍術の実践 川上仁一伊賀サテライト産学官連携アドバイザー(忍術継承者)
  • おわりに 山本哲生読売新聞伊賀上野支局記者
     三重大学国際忍者研究センターより 安食和宏三重大学国際忍者研究センター長

『忍者学講義』

山田雄司編・三重大学国際忍者研究センター著
『忍者学講義』(中央公論新社)

 また、コラムを池浦良淳工学研究科教授(制御工学・ロボット工学)、紀平征希伊賀研究拠点研究員(陸水学)、そして私が執筆している。

 研究開始当初は、大学が忍者研究を行うことを嘲笑したり、批判的な意見もあったが、これだけ多くの先生方に関わっていただき、研究が進展していることを大変嬉しく思い、支えてくれてきた多くの方々に感謝申し上げたい。

 シンポジウムの際、駒田学長は、「忍者学は歴史、文化にとどまらず、もはやサイエンス。この研究成果を社会に還元するのが大学の使命だ」と話したが、今後さらに忍者・忍術の深奥を探求していきたい。

 

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